「毎日は楽しいけれど、もう少し変化が欲しい」「毎月あと5万円、収入を上乗せするスキルがあれば」働き始めてしばらく年月が経つ20代、30代は、そんな想いを抱きやすい時期です。業務には慣れてきた一方で、昇進や転職、結婚、出産など、これからの人生を考える機会も増えてきます。そこで注目されるのが、社会人の「学び直し」です。ただし、ひと口に学び直しといっても、大学や大学院に通う、資格を取得する、専門スクールに入る、オンライン講座で学ぶなど、選択肢はさまざま。費用も数千円から数百万円まで幅があります。大切なのは、評判のよい学びの場やコース、学校を探すことよりも、まず「自分は何のために学ぶのか」を明確にすることです。代表的な選択肢を、費用、期間、メリット、向いている人という観点から見ていきましょう。
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目的から選ぶ大人のリスキリングと予算

大学・大学院――体系的に学び、専門性を証明する
大学や大学院は、特定の分野を体系的に学びたい人に向いています。経営学、教育学、心理学、情報科学、公共政策など、仕事に関係する分野を深く研究できるのが特徴です。
社会人向けの夜間・土日開講や、オンライン中心の課程も増えています。学士号や修士号など、学位として残ることも大きなメリットです。
一方で、修了まで1~4年程度かかり、学費も数十万~数百万円になることがあります。課題や研究にも一定の時間が必要ですし、一般的に大学院で論文を書く場合、リサーチと執筆にかかる時間は、フルタイム勤務と同じくらいの労力を要します。「転職に有利そうだから」という曖昧な理由だけで入学すると、仕事との両立に苦しむ可能性があります。
大学・大学院が向いているのは、専門職を目指したい人、将来的に研究や教育に携わりたい人、学歴や専門分野を長期的なキャリアの土台にしたい人です。

資格取得――必要な知識を絞って学べる
資格は、学ぶ範囲とゴールが明確なところが〇。簿記、宅地建物取引士、社会保険労務士、キャリアコンサルタント、IT関連資格、語学試験など、仕事に直結するものも少なくありません。
独学なら数千円から始められ、通学講座や通信講座を利用しても、大学院に比べれば費用を抑えやすいでしょう。働きながら半年から1年程度で取得を目指せる資格もあります。
ただし、資格を取れば万能、とは限りません。どの程度、現場で評価される資格なのか、資格取得後にどのような業務経験を積む必要があるのかまで確認すると安心です。
資格取得は、現在の仕事で担当領域を広げたい人、未経験分野への転職に向けて基礎知識を証明したい人、目標が明確なほうが勉強を続けやすい人に向いています。
専門スクール・ブートキャンプ――短期間で実務スキルを習得する
AIスキルアップ、Webデザイン、動画編集、マーケティング、株や投資など、ピンポイントで望むスキルを学べる専門スクールが数多くあります。
最大の特徴は、実際に手を動かしながら学べることです。講師への質問、課題の添削、受講生同士の交流、転職支援などが用意されているスクールもあります。独学では挫折しやすい人にとって、学習のペースをつくりやすい環境です。
費用は数万円から数十万円程度が中心ですが、高額な講座もあります。受講前には、カリキュラムだけでなく、講師の実務経験、卒業生の進路、返金条件、転職支援の内容まで必ず確認しましょう。
特に注意したいのが、「数カ月で誰でも高収入」「未経験から簡単にフリーランス」といった宣伝です。スキルを学ぶことと、仕事を安定して獲得することは別問題。うまい話に乗せられないように注意してください!
専門スクールは、短期間で新しい技術を身につけたい人、転職活動で提示できる制作物や実績をつくりたい人、ひとりでは学習を継続しにくい人に向いています。

オンライン講座・MOOC――低コストで試してみる
「興味はあるけれど、高額な学費を払うほどかはわからない」という人は、まずオンライン講座を利用する方法があります。
大学や企業が提供する講座、動画学習サービス、MOOCと呼ばれる大規模公開オンライン講座などを使えば、ビジネス、IT、語学、教養まで幅広い分野を学べます。無料、または月額数千円程度で利用できるものも多く、通勤時間や休日を活用してまずはスタートできるのが最大の魅力。
ただし、自由度が高い分、強制力はないので途中で視聴しなくなるケースも少なくありません。また、動画を見ただけでは、転職で評価される実績になりにくいこともあります。
学んだ内容を仕事で試す、作品を制作する、社内で新しい企画を提案するなど、「学習の先に何をアウトプットするか」まで決めておきましょう。
オンライン講座は、学びたい分野が自分に合うか試したい人、費用を抑えたい人、自分で学習計画を立てられる人に適しています。
副業・プロジェクト参加――実践しながら学ぶ
学び直しは、必ずしも講義を受けることだけではありません。副業、社内の新規プロジェクト、ボランティア、勉強会、地域活動などに参加し、実践の中でスキルを身につける方法もあります。
たとえば、広報を学びたいなら団体のSNS運用を担当する、Web制作を学んだなら知人のサイトをつくるなど、小さな実績を積み上げることができます。
費用をかけずに経験を得られる一方で、初心者でもできる範囲を見極め、無償労働になりすぎないよう注意が必要です。本業の就業規則や副業規定も確認しておくのが安心ですね。

費用だけで選ばないためのポイント
5万円以下
- 「まず始めてみる」には最適な価格帯。
- 興味が続くかを見極める期間と考える。
10万~50万円
- 最も選択肢が多い価格帯。
- 転職支援や添削など、何にお金を払っているのかをシビアに確認したい。
100万円以上
- 学位や人脈など、お金では測れない価値も。
- 「5年後、10年後のキャリアでどう生きるか」という視点で判断する。
「何を学ぶか」より「何を変えたいか」から考える

学び直しで失敗しないためには、まずは目的を確認して、スモールステップで手や足を動かしてみることが大切です。「今の会社で担当業務を広げたい」「異業種へ転職したい」「副業収入をつくりたい」「自分の関心を深めたい」など、学んだあとに変えたいことを書き出してみましょう。
そのうえで、求人情報を見る、経験者に話を聞く、無料講座を受ける、説明会に参加するといった小さな行動から始めます。資格や学位が必要だとわかってから、本格的な進学や受講を検討しても遅くありません。
20代、30代のキャリアは、働きながら試し、必要に応じて学び、方向を調整していくもの。リスキリングのコツは、これまでの経歴を否定することではなく、すでに持っている経験に、新しい知識や選択肢を足すのが堅実なステップです。焦りすぎて人生を変えようとするのではなく、まずは半年後の自分に必要なものから考えてみてはいかがでしょうか。










